主要技術

【1】除菌・消臭剤のMA-TはMatching Transformation System🄬の略称です。

除菌・消臭剤MA-Tの主成分である亜塩素酸イオン(白い丸で示したもの)の水溶液中で極僅かに生成する活性種(赤い丸で示したもの)が菌やウイルスを不活化する物質ですが、3段階で生成します(下図).

この活性種は反応する相手がいなければ消失し、生成と消失を繰り返していますので、その濃度は常に一定(化学平衡と言います)ですが、菌やウイルスと反応して活性種が消費されると、消費された分だけ白い丸で示した原料のイオンから供給するので、「要時生成型亜塩素酸イオン水溶液(Matching Transformation system®)と命名しました.

MA-Tは、㈱エースネットが”赤ちゃんにも使える”をテーマに17年間の歳月をかけて開発した除菌消臭剤のシステムで、これを創薬に応用したいという相談から大阪大学がそのメカニズムを解明しました.

研究チームの歯学研究科の阪井丘芳教授らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が結合して体内に侵入する受容体(アンジオテンシン変換酵素2ACE2)が口腔内では唾液腺の唾液が出てくる導管上皮細胞に集中しており、主な感染ルートが口腔内の唾液中に含まれるウイルスに由来する飛沫感染であることを20208月に欧文雑誌で発表し、MA-Tの各種の安全性試験(研究課題04)や既に市販されていたMA-Tのマウスウォッシュを用いた唾液中のウイルスの不活化効果やMA-Tそのものを用いた創薬研究など(研究課題05)を実施しています。

なお、MA-T入りの口腔ジェルはJSTのOPERAの研究から生まれ、令和4年2月にアース製薬株式会社から上市されています。


【2】化学の大発見と関連する研究の推進

 MA-Tの中で生成する活性種(赤い丸で示したもの)の濃度は、原料となる亜塩素酸イオン(ClO2)の濃度と化学平衡を右に傾ける触媒の働きの2つで制御できます.

活性化の度合いが低いと、水の消毒や航空機の除菌・消臭(実は日本の航空機のほぼ全機で使われています)に利用されています.

ここに強酸を加えると二酸化塩素のガスが発生し、さらに光で活性化すると超高難度酸化反応とされているメタンの酸化反応が進行し、天然ガスの主成分であるメタンガスを常温・常圧下という極めて穏和な条件下、液体燃料であるメタノールとギ酸に、全て変換できます.

この反応が進行すると、地球温暖化係数が二酸化炭素(CO2)の25倍もあるバイオメタンガスの液体燃料に変換できるだけでなく(研究課題01)、プラスチックの表面酸化(研究課題02)、理化学機器への応用(研究課題03)、が可能となり、様々な応用化研究を展開しています.

【参考】

MA-Tとは? (日本MA-T工業会HPより)