ご挨拶

大阪大学大学院薬学研究科
生体構造機能分析学

井上 豪

本プロジェクトは、大阪大学の創薬サイエンス部門に対して、MA-Tと呼ばれる除菌・消臭剤の応用化研究に関する相談をきっかけに始まりました。このMA-Tは株式会社エースネットが開発した除菌・消臭剤のシステムで、日本のほぼ全ての航空機のほか、多くのホテルでも利用されていますが、その相談以降の大阪大学における研究によって、主成分である亜塩素酸イオンを活性化するのを弱く制御することによって、反応すべき菌やウイルスが存在する時にのみ、必要な量だけ有効成分である反応活性種を「水の中」で生成する「要時生成型二酸化塩素水溶液」であることが明らかとなりました。除菌・消臭剤として生まれた高い安全性と安定性の裏付けも解明でき、これを積極的に活用する方法を模索しています。

一方、共同研究者である大久保 敬教授らは(大阪大学高等共創研究院)、このMA-Tのシステムを利用して、「光」を使って活性化を強くすれば、常温・常圧下で気体燃料(メタン)から液体燃料(メタノールとギ酸)へと簡便に変換する反応を発見しています。また、この発見を基に、様々な高分子材料も生まれています。本プロジェクトは、主成分である亜塩素酸イオンを、反応する相手に応じて如何に活性化を「制御」すれば良いかを追究し、様々な応用化のための基礎研究を進めることを目的としています。

「イノベーション」には「気付き」という意味があり、ちょっとした会話からでもアイデアやヒントが生まれると言いますが、本プロジェクトではこれまでに様々な「気づき」の中からたくさんの技術が生まれつつあります。安全、かつ、安定な「要時生成型二酸化塩素水溶液」の可能性をさらに拡げるための基礎研究を企業の方々とも密に協議し、さらなるイノベーションの創出に寄与していきたいと考えています。

領域概要

要時生成型二酸化塩素を用いて、その酸化強度を巧みに制御することで高難度の化学反応を開拓すると共に、高分子の高機能化やデバイスへの応用、食品添加物や農薬・医薬品等への幅広い応用の基礎となる基盤化学を推進する。また、合成化学、高分子化学、分析化学、農学、薬学、医学に跨る幅広い分野の専門性と広い視野を備えた人材を育成する。

参画企業

マイクロ波化学株式会社、日本電子株式会社、株式会社マンダム、株式会社エースネット、大塚ホールディングス株式会社、アース環境サービス株式会社